ヘソの曲り角

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

4.0
これは思ったより面白かったぞ…! とはいえひとりの夫をとっかえひっかえするふたりの女の話なのでそれの完全な犠牲者である子どもたちの気持ちになるとこれほどクソみたいな映画もないのでその点については注意願いたい。

とにかくイーサン・ホーク演じる夫がしょうもないのに魅力がある一番たちの悪い奴なのだがジュリアン・ムーアもグレタ・ガーウィグもかなりのクセ者でどいつもこいつもしょうもない。おまけにガーウィグの親友として出てくるビル・ヘイダーもどうかしてるときた。全員混乱している。それでもこのままならなさの中でごまかしごまかし「大人」な面して学会で発表したり本を出版したりしているのだ。周りを見渡してみても言われてみればこういう人ばかりだ。自分のことも棚に上げてはいられない。

色んな人たち、色んな関係が出てくるが等しく扱われているのに好感が持てる。ガーウィグとヘイダーの元交際相手兼親友という関係性やガーウィグとムーアがふたりで子育てするフェーズなどわりと多くの人が気にしてるだろう関係性と性別の壁を全く意に介さない描写が当たり前にあるのがいい。見てて離婚がもっとカジュアルにできる世になったらええねと思ったほか、こさえたガキの面倒をどうするのかという問題にそういやふたり(夫と妻)で見ないといけない決まりなんてないよなと思ったりした。今回みたいに責任の所在がふわふわしてるのはよくないけど。

とにかく役者がいい。特にみなさんがビル・ヘイダービル・ヘイダー言う理由がわかった。全体的にブルックリンを舞台にした軽快なインテリ喜劇になっていて、決してテンポがいいわけではないが飽きない。レベッカ・ミラーは過小評価されている気がする。かなりいいと思う。