ちろる

ヨーロッパ横断特急のちろるのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ横断特急(1966年製作の映画)
3.8
駅のコンコースで男とスーツケースを交換した密売人が、自分たちの乗る横列車に乗り込むというシナリオを思いついたとある監督と妻ら。
そんなあーだこーだ考察してる彼らの乗る列車に、実際に薬の密売人見習いの男が乗り込むことから物語はそれぞれ並行して進んでいく。
虚構と現実というアラン・ロブ=グリエ監督ならではの手法で物語の中に引き込むけど、混迷させる事が目的のほかの彼の作品と違って、割と理解しやすい娯楽よりのプロットだと思う。

監督たちが語り合うシナリオの中に登場人物が迷い込んで、ごっちゃになってくるのだけど、当の主人公エリアル自体はシナリオで遊ばれてるとも知らずに現実と(される)世界で、密売人のテストを繰り返すわけだけど、
そんなことよりサツに捕まるかも?な緊張感と、密売人になれるかの検定中なのに、知り合った見ず知らずの美女とSMプレイに興じるワイルドさ(もしくはアホさ)ちょっと笑える。
こんなアホな主人公ですが端正なお顔立ちのジャン=ルイ・トランティニャンが演じてくれたお陰で、それなりなハードボイルドな雰囲気に。
マリー=フランス・ピジェが演じるエヴァと、エリアルとこちょっとアートな雰囲気のエロティックなシーンがなんとなくこの作品の中心になっていくうちに、訳わかんなくなって、だんだんとシナリオが破綻していくことに気がついて、自分たちでこのストーリーを否定しちゃうとか流石自由なアラン・・・

お馴染みのアバンギャルドな雰囲気は残しつつこの作品は結構正統派クライムムービーなのか?と観てたけどやっぱ彼はアートなエロティックについつい、話がそれちゃうとこが何か嫌いじゃない。

エヴァ役のマリー=フランス・ピジェがドーリーで私好みにとても可愛かったので、ジャン=ルイ・トランティニャンとのエロティックシーンも眼福でした。
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