傷痕アイランド

ダゲレオタイプの女の傷痕アイランドのレビュー・感想・評価

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)
3.5
古典撮影技法ダゲレオタイプ(撮影に数十分かかる)に取り憑かれた写真家、そのモデルを務めるが本当は家を出たい娘、娘を解放したい+お金が欲しくて家を手放させようとする助手の思惑が絡まり合っていく

セルフポートレートにしろ!
きつい撮影を他人に強いるな!

亡くなった方を撮る父に娘が嫌悪感を示す場面があったけど、長時間動かずにいることが条件のダゲレオタイプは遺体撮影に向いた技法だ
更に写真家は妻と娘に擬似的に遺体に近付く処置を施していた
既に半分くらい死者の世界に入り込んでいたのかもしれない

後半は妄想?幻?と現実の区別がわからなくなって怖い
けど私は何も起きていない前半の方がもっと怖かった
絶対この後何かあるよ…という不穏な空気に包まれていてずっと緊張していた

霊がものすごくはっきり出てくる
亡くなった方だと知らなければわからないくらいに
絶対にいるはずが無い人が当たり前にいるのは怖い
見た目の怖さではなく知識前提の怖さ
動きがスローモーションになる場面は恐ろしいけれど目が離せない状態を強制的に体験させられているようで大変怖かった

作中に登場する等身大のダゲレオタイプは本当にダゲレオタイプなのかな?
精緻なのに妙に奥行きが無くて絵画のようだった
瞬間は消えて永遠と普遍だけが残る撮影技法、惹かれる気持ちがわかる気がする