ちいさな泥棒

ハリー叔父さんの悪夢のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

ハリー叔父さんの悪夢(1945年製作の映画)
4.3

映画を皆様によりお楽しみいただきたいのでラストは内緒にしていてくださいね系♪


なにかと理由をつけて大好きすぎる兄の結婚を妨害する愛がいきすぎてる妹。

「全部お兄ちゃんのためを思ってしてるのよ。守るためなのよ!」

そういってまた仮病をつかう妹をほっとけない兄のハリー。その他諸々、、周りから見たらとっとと離れたほうが心の健全のためにいいのは一目瞭然。本人もわかってはいるんだけど…って気持ち、とてもわかる。結果共依存状態になってしまっているわけで、チャンスがあって「家族といえどこの状況、環境はなにかおかしいぞ」と違和感に目覚めたのなら、罪悪感を手放して身内と離れるのも自分の幸せのためには大事なんだよね。

今でも理解が浸透していない毒家族系のあれこれをこの時代に真っ向から描いているとはかなり凄いことだなと感動。当時の人達はどう思ったんだろう?

兄ハリーの苦しみや葛藤を理解できる人は現代でもどれほどいるだろうか。理解のあるお姉ちゃんが救いだった。


この作品もだけど『蛇の穴』といいこの時代の精神分析や医学ってどの程度進んでたんだろう?

婚約者が都会的でキャリアウーマンでパンツスーツだったりスカートでも少しメンズライクなスタイルなのに対して、妹が植物だらけのTHE温室育ちでフリフリしたようなバッキバキの女子スタイルって構図もよかった。婚約者話し方とかソファーの座り方とかカッコよすぎて女の私でも惚れる。女性に好かれるタイプの女性(こういう人って気を許した相手の前だとホロッと弱かったりするからまた惚れちゃう!好きになっちゃう!笑)


妹のあれが〇〇じゃなかったら『少年は残酷な弓を射る』のケヴィンと同じような、似たような思考と心理だと観ながら思いましたね(自分も同じようなことを親族に思いながら生きていた時期があったので、ひょっとしたら…と足を運んで当時劇場でケヴィンを観たとき鳥肌が立つ思いだった)そう考えるとかなり攻めてるし斬り込んでるし進んだ作品だったんだなぁ。