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映画 聲の形のEVOのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.0
耳が聞こえなく伝えることができない少女と
自ら耳を閉ざし伝えることをやめた少年。

山田尚子監督というだけでずっと期待していた作品!
25歳にして監督に抜擢された『けいおん』シリーズでは日本アカデミー賞、『たまこラブストーリー』では文化庁芸術祭アニメーション部門で新人賞と経歴からも分かる逸材。
とにかくこの方は人物描写が素晴らしい。手先や足に動きにまで心情を反映させてしまう描写力。
青春群像劇を得意としており、その表現力は遺憾なく発揮されてます。
他にも実写映画的な手法を使用したり、凝ったカメラ表現などなど、毎回感心させられる演出を行う山田尚子さんのファンは多いはず。(本人が可愛いことでも人気)

さて京アニでさらに山田監督でアニメ化されると聞いたときに、これはピッタリだと思いました。
原作は未読でしたが、大まかなあらすじは話題になっていたので知っています。
PVの時点で京アニの本気どがビシビシ伝わりました。
そして実際に予想通りピッタリ。

ヒロインの西宮の意志の伝達方法は筆記や手話、「手」により会話するしかない。
また主人公である石田は相手の顔が見れないので、主観時に映るのは自分の「手」と相手の「足」。
この手足に機微な感情の揺れが描かれていた。
ここが手足にこだわりある山田監督にピッタリ!

また顕著に目立った山田監督ならではの演出が、カメラ演出。
彼女の作品の真骨頂と言えるカメラ演出は今作でも多様されていた。
本来アニメでカメラの存在などないのでは?
フォーカスを特定の人物に絞り周りをぼやかし、
手持ちカメラのように揺らせたり、
様々なフィルターをかけたり。
シーンチェンジの際に上空へカメラがグッと移動するとか。。。
京アニの他作品を見ていても「あれ、今回の演出担当って山田さん?」なんて感じて実際にそうだったと分かるほど特徴あります。

あとは音による演出も素晴らしかったですね。
主人公が心を閉ざし耳を覆ってしまう状態から、誰かと打ち解けたときに鳴る大きすぎるほどのBGM。
特に最後の全員についたバツ印が消えた時なんかはカタルシス凄かった。

あとは山田監督の女の子はとにかく可愛い。
女性監督ということで萌えに嫌味が全くなく、本人も可愛い女の子好きということで純粋な可愛い子が描かれている。

とやばい、監督と演出の話ばかりになっててしまった。。。

お話の方では「伝えるという難しさ」を考えさせるものでした。
そしてそれぞれの人物がどう答えを出したのかも考える、別に全員罰せられる必要はないのではと思う。
全員それぞれどう立ち向かったかという所を描かないところにひっかかりを感じる人もいるでしょう。
正直に言うと原作のカットが多いのは聞いていて、映画ではここらへんが足りていないと思うので、この部分に不満があるのはしょうがないと思う。
ただ全く違う見方での批判は。。。
テーマが「障害者」、「いじめ」ではなく、「人に思いを伝える難しさ」を描いたと理解すれば良いのではないでしょうか。(これは原作者がインタビューでもおっしゃられてました)

この映画で何を伝えたいのか。しっかり伝わってると思います。
現に300人満員の映画館でクレジットが短いとは言えども、一人も明るくなるまで立ち上がる人はいませんでした。
それが証明となるかは微妙だけど、鑑賞者それぞれが考えさせるメッセージを持った作品であった。

原作、是非読みたい。そして再び映画を鑑賞し作品の素晴らしさに浸りたいです。

最後に長束くん最高。みんな笑ってました。
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