クロフネ

クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃のクロフネのレビュー・感想・評価

2.5
2014年の「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」の高橋渉監督作品だから、期待値を上げて観たが、
全体的に"う~ん"と思えるような箇所が結構あった。

良かった点は
まずは、かすかべ防衛隊が全体を通して活躍していたこと。
ユメミ―ワールドで見ている夢で全員が調子に乗ってる感は笑った。
スターウォーズはちょっと突然すぎて冷めてしまうが、
風間くんやボーちゃんの夢が後々の伏線として扱われているのは良かったし、
とにかく明るい安村が悪夢ゾーンで登場してくれるところや、"バク"の扱いも笑った。
また、ラストにみさえが言う母親の想いもホロっとさせてくれる。
みさえ単体が最後に活躍する作品はかなり珍しいので、かなり意外だった。

 まず、作品で取り扱われている"夢"について。
"夢"を扱った作品では『インサイド・ヘッド』が記憶に新しいが、
そこでは"夢"とは「過去の記憶を整理する際に見るモノ」として扱っている。
しかし、今作では"夢"(特にユメミ―ワールド内)を自分が将来や理想として持っている「叶えたい夢」と
今までに経験した過去の記憶から再生された「精神的な夢」を両方とも扱ってしまっていること。
そして、サキの夢が後者なのに対し、しんのすけ達が見ているモノは前者と夢の種類が根本的に違う。

 また、ユメミ―ワールドについても言いたい事がある。
まず"夢玉"について、子どもは大きく、大人が小さいことに疑問がある。
夢玉の大きさがその人が持っている"夢"の大きさに比例するならば、
まだ幼くて、日々感じることが新鮮で苦難や挫折をほぼ経験していない、
将来に対して希望が大きい、子どもだから夢玉が大きいのは納得できるが、
大人全員の夢玉が小さいのはおかしい。
苦難や挫折を経験した大人でも、例えば、漫画家やアイドルなど、
中には将来に対して大きな希望を持っている大人は少なからずいてもいいのに、作品内ではそういう人が一切出てこない。
「夢玉は"子ども"→大きい、"大人"→小さい」は少し安易すぎる。

そして、魚の外に排出されると、今まで見ていた夢の正反対のことが起きる(→悪夢を見る)ことのになるが、
悪夢って、サキが見ているような過去の出来後に対する後悔や恐怖から見るもので、
それ以外の人が見る理想の正反対という悪夢として成立するのか?
ていうか魚の外で、夢玉なくても夢は具現化できるんだね。

 そして、夢玉を大きくする方法も「子どもっぽくなればいい」という考えはギャグに持っていくにはいい考えだが、
それを実行しているひろしとみさえのバカっぽい見た目と言動にしんのすけやサキが引いてる描写あるが、
対決をするサキの父はそれに対して引く様子もツッコミもせず、真面目に相手しているから不自然さが目立つし、
観ていてこっちが恥ずかしくなる。
(過去作では"ブタのヒヅメ"での筋肉とのトイレ合戦や、"ヤキニクロード"でのヒッチハイクのような"大人が引く"リアクションが全く無かった)

 クライマックスのみさえがサキに対して伝える"母親の想い"は、
悪夢を見ている"実際のサキ"よりも、目の前にいる悪夢の原因を作ってしまった"過去のサキ"の方に伝えた方が良かったんじゃないか?

終わり方にも疑問がある。
春日部や前の所でも、何の関係ない人たちが悪夢を見て、学級閉鎖や仕事を休むことになってしまったのに、
博士がそれらについて何の償いもせず、また夢の研究を続けて、良きことで済まそうというのはどうなんだろう?
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