ねぎおSTOPWAR

迷夢のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

迷夢(1936年製作の映画)
3.6
KMDbにて二作目の鑑賞。
やはり1936年、日本の統治時代。
スポンサーは鮮満 交通タイムス社。
当時あちらへ渡った西のヤクザ分島の興した企業でしょうか。
ちょっと前に観た「青春の十字路」は現存する最古の映画。
これは、トーキーとして現存する最古の映画。

今作は原フィルムに日本語字幕が付いています。
例えば「・・じゃないですか」というセリフに「・・ぢゃないですか」とあるので、これは当時公開した字幕付きフィルムが残っていたことなのでしょう。
48分の作品で、書籍にもなっている「韓国映画100選」にも掲載のある映画です。

時代的な前提として、日中戦争に突入してから朝鮮半島での統治が高度に抑圧的になっていくので、これはギリギリ総督府の意向をあまり反映していないシナリオです。
以降は日本人、日本軍として徴兵したい政府の意向で、これつまり「挙国一致」「皇民化政策」を調べれば出てきますけど、それをバックアップするための思想教育として映画を使っていたんですね。


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wikiなどでは、日本の極右団体<日本会議>が「植民地」という呼称を使うかどうかなど些末な部分で学術を翻弄し、結果日本の戦時行為を美化したいがためにかなり混乱しています。
webは玉石混合ですから、きちんとした学者の書籍を読むべきかと思います。
すごく簡単に言えば、明治から1945年は主導したかどうかの差こそあれ、戦争をしていたんです。そこではアメリカ人も殺し、中国人を殺し、朝鮮人に至っては兵が足りないから日本軍として戦わせました。自発的に日本にやってきた人もいましたが、強制労働を課された人は数多く存在します。
もし未来に進みたいのであれば、きちんと自分たちのやったことを認めて、反省しないと、人のこと言えませんよね。
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だいぶ固いこと書いちゃいましたけど、結局映画の中の人物の気持ちをおもんばかることが鑑賞ですからね。普段は対岸の火事:ナチスや黒人やの虐げ虐げられという映画で怒り、涙するわけですから・・。日本人にとってちょっと心苦しくなる映画も存在するってことです。分け隔てなく鑑賞し、極力ブレない信条を持つことこそ国際人として必要なことでは・・。


主人公は旦那と一人娘を持つ女性。
普段から着飾ることや対面に夢中で旦那や娘のことは二の次という人物。
ある日それを咎められ「離婚だ!」と追い出されることに・・。
近寄ってきた男性とホテルで暮らすがその男は貧しい犯罪者と知り通報する。
そして駅へ向かうタクシーを急がせたため、車は娘をはねてしまう。命は助かるが良心の呵責から自殺して終わる。

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