マルケス

ナチス第三の男のマルケスのレビュー・感想・評価

ナチス第三の男(2017年製作の映画)
4.0
ハイドリヒ暗殺を交点として、撃たれる側と撃つ側、二つのストーリーラインが進んでいく。ナチスNo.3に上りつめたハイドリヒと、暗殺を決行したチェコのレジスタンス。何度か挿入される暗殺シーンで視点を切り替え、どちらの側にも立たず歴史の事実を映し出している。この視点の置き方が面白かった。

もうひとつ、描かれていない大事なストーリーラインがある。暗殺に至るまでの政治の駆け引き、ここを押さえておくと暗殺を無意味と一蹴できない側面が見えてくると思う。
1938年ミュンヘン会議(参加国/英仏独伊)でチェコ領ズデーテン地方がドイツに割譲される。チェコは自国の領土でありながら会議にも参加できず、結果だけ知らされるという屈辱を受ける。その後もドイツの侵略は続きチェコスロバキアは世界から見捨てられていく。
1942年、チェコ亡命政府の働きかけがイギリスを動かし、ミュンヘン協定は無効になった。命がけで抵抗しなければ大国は弱小国の主張など耳も貸さないのだ。

出演俳優が見応えがある演技を見せてくれた。報復が眼を覆いたくなるほどで、ノア君の泣き顔が演技とわかっていても辛かった。
最後のシーンで涙腺決壊。ヤンの薄れゆく記憶だったのかなと思う。(このシーンがあったことで0.5アップ)
マルケス

マルケス