さわだにわか

Coo 遠い海から来たクーのさわだにわかのレビュー・感想・評価

Coo 遠い海から来たクー(1993年製作の映画)
3.5
ミリタリー描写がすごいとは聞いていたが描写そのものよりも単なるそこらへんの民間人父子が諜報と戦闘のプロであるグリーンピースのメンバーの助力を得てフランス外人部隊、更にはフランスという国そのものと戦うという展開に驚いてしまったし、ドサクサに紛れてUMAネタとテレパシーが出てくるクーというよりムーじゃねぇかな濃厚ニューエイジ志向に痺れる。

原作の景山民夫はその後ニューエイジ宗教の日本における代表格である幸福の科学に入信することになり、痛烈な軍部批判映画である『陸軍残酷物語』で監督デビューした『新幹線大爆破』の佐藤純彌が実在の自称超能力者を題材にしてスクリーンから客席に文字通り気を送った三浦友和主演作『超能力者』を世に問うのは『クー』翌年の1994年、脚本の岡本喜八もニューエイジにかぶれて晩節を汚すスレスレでどうにか踏みとどまったというあたり、実にサスペンスフルな映画である。

演出補でクレジットされている細田守の名前を見れば、ニューエイジの地下水脈が現代アニメ映画に流れ続けていることも確認でき、その意味で日本アニメ史上の裏重要作かもしれない。
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