Ricola

ココナッツのRicolaのレビュー・感想・評価

ココナッツ(1929年製作の映画)
3.9
マルクス兄弟主演の初長編作品。
今まで観てきたマルクス兄弟の作品と比べると、彼らの出演時間が短めでその代わりに女性たちによるダンスシーンが多い。

グルーチョが今回はホテルの支配人。
従業員に給料を払わないと屁理屈言ってごまかすという、もうぶっ飛びぶりがすぐわかる…笑


チコとハーポのキャラクターももうちゃんと確立されている。
イタリア語訛りのチコと無口ですぐ人の物を取っちゃうハーポ。

彼らの音楽の才能も存分に披露されている。
チコのピアノ、ハーポのハープとそしてクラリネット演奏。
おまけに彼らはレジの音まで使って音楽を奏でちゃうのだ。
面白おかしいことをしているだけでない、彼らの他の一面もパフォーマンスとして観ていて楽しい。

兄弟の特有のアナーキーな笑いが爆発するシーンがやはり好き。
まずホテルの二部屋を行き来して、犯人を惑わすというか妨害することになるシーン。
せっかくの作戦を3人に邪魔されて全くスムーズに進まない。
彼らの動きのテンポの良さで、観客までも混乱に導くのがさすがである。
舞台でやっていたものを映画化したというだけあって、ここのシーンの舞台的な演出が映画であってもちゃんと活かされている。

そしてもう一つのシーンは、結婚式での南国風の衣装に身をまとった兄弟たちと、刑事の男のやり取りのシーン。
刑事はシャツを例のごとくなぜか失くし、I want my shirt!と言う。
そしてそのまま歌へ…。
自然にカルメンの闘牛士の歌にのせて歌うことになるのが、かなりツボだった笑

この作品で繰り返し歌われる"When my dreams come true"も名曲で、作品のかろうじて存在するテーマの一貫性を主張している。

くだらないギャグも含め、言葉遊びのギャグも、もうこの頃からマルクス兄弟スタイルはあり、やっぱり楽しい。
深いことは考えずただ大口開けて笑える、こういった類の作品はやはり定期的に観たい。
Ricola

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