みなさまは『noma(ノーマ)』というレストランをご存知でしょうか。
「世界のベストレストラン50」で何度も世界一に輝いた、世界で最も予約が困難だと言われるレストラン。
食通の方なら誰もが知っているであろう、こちらのレストランを、私は『ノーマ、世界を変える料理』で知りました。
ある人は言います。
「世界にこれほどまでに素晴らしいレストランが存在するのか」と。
本作はその創始者であるレネ・レゼピの生い立ちからパーソナリティまでにスポットを当てつつ、『noma』が再び世界一に返り咲くまでの苦闘を綴ります。
「美食とは無縁の地」と言われていた北欧の地で、彼は『New Nordic Cuisine』という新しいスタイルの料理を確立しました。
料理には「場所と季節が大切」だとレネは言います。
「人生観を変えてしまう程のインパクト」とまで言わしめる『noma』の料理たち。
規格外の発想でありながら、食べた者に奇抜さ以上の感動を与える理由は、その料理が北欧の大地へのリスペクトに溢れているからだと思う。
レネの食材や料理に対する哲学は素晴らしい。
それは一見、無駄なこだわりにも思えるのだけど、その執念の一つ一つが理屈抜きに「美味しい」を実感させる所以なのだと思う。
世界には美味しい物が溢れていて、今や季節や場所に関係なく食べたいものを選択できる世の中。
食の本質が何なのかはよく分からないけれど、土地と四季の恩恵を受けた食材は、食材への感謝を忘れないレネの手を通じて「今ここで生きている」を実感できる唯一無二の料理として昇華されているのかも。
レネは元々移民でなかなかの苦労人なんだけど、若いのにここまで自身のアイデンティティーを確立している点はすごい。
あと、感情的ですぐにキレちゃうワンマン具合も、人間味があってよい。そしてイケメン。
賞レースや批評なんて興味ないと言いつつ、それなしでは美食のトレンドを牽引する存在を維持できない現実がやるせないよなー。
料理に限らず新しいことを始めようとする人間に世間は厳しいものですね。。
正直、料理は奇想天外すぎて凡人にはついていけないかも。
苔とか生きた蟻とか、あちらはどうやって食すのでしょうか…大変に独創的ではございますが、ポポラマーマが好物の人間では理解が追いつきませでした。
ただ、視覚的にはアバンギャルドで最高に楽しめます。料理と言うより、前衛的なアート作品たち。
そんな『noma』、2015年には東京に期間限定OPENしていたんですね。
その名も『ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京』。
いいなーなんて思いながら調べてみたら、メニュー価格は1人7万円。わお。
それでも限定2,000席に対して世界各国の美食家から申込が殺到し、6万2,000人がウェイティングリストに名を連ねたというから、すごすぎる。
ドキュメンタリーでありながらドラマチックで見応えのある展開なので、意外と誰にでもオススメできる作品。
新しいことを始めた人、周囲の理解がなかなか得られなくて辛い状況にある方には特に。きっと気持ちが高まります。