リンコロシネマ

ケンとカズのリンコロシネマのレビュー・感想・評価

ケンとカズ(2015年製作の映画)
4.5
【小路紘史監督に注目!】

あまりに『辰巳』が良過ぎて小路紘史監督の前作にしてデビュー作が観たくなったのだが配信もレンタルもなかったので密林にて中古DVD(新品がなかったので)をポチり到着。鑑賞。

『辰巳』同様ハード・ノワールの傑作だった。カトウシンスケくん、毎熊克哉くん、藤原季節くんなどの若手の鬼気迫る演技も素晴らしく第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門で作品賞を受賞している。

《あらすじ》
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自動車修理工場を隠れ蓑にして覚せい剤の売買で金を稼いでいた悪友のケンとカズ。しかし、ケンの彼女・早紀が妊娠した事によりケンはまっとうな人生を願うようになる。だが、反対にカズが販売ルートを増やそうとした事で、元締めのヤクザから目をつけられたケンは次第に追い詰められてく。
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小路紘史監督作品は余韻が強いのが特徴かな。ケンとカズの不思議な関係に心を奪われる。特に痴呆症の母の面倒をみながらマザコンなのかなんなのか不明なアウトローのカズを演じた海熊克哉くんの目つきの鋭い演技は特筆に値する。

それにしてもこの映画だって話題になりながら次作の『辰巳』の公開まで8年もかかってる。しかもクラウドファンディングで資金を集めたりして苦労されている。日本の映画界はなにやってんだろ…。

さすがに『辰巳』がこれだけ話題になっているのだから次の作品は自主映画ではないと思うが、早くこういった才能を発掘してお金を出してくれる状況になるといい。