Omizu

ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそのOmizuのレビュー・感想・評価

3.8
【2018年キネマ旬報外国映画ベストテン 第9位】
巨匠フレデリック・ワイズマン監督作品。ヴェネツィア映画祭アウト・オブ・コンペティションで上映、ニューヨーク映画批評家協会賞でドキュメンタリー映画賞を受賞するなど国際的にも評価が高い一作。

さすがワイズマンと唸るような一作だった。淡々と事物を映しているだけなのに確かな社会問題と人間の生命力が浮き上がってくる。ドキュメンタリーのお手本のような作品だ。

ワイズマンはそこまで好きというわけではないが、キネ旬に入っているということで気になっていた本作、アマプラでレンタルして鑑賞。

流石ワイズマンと言うほかない見事な作品。それ以外言うことない。豊かな人間描写も素晴らしく、ジャクソンハイツという多様な人種、宗教が混在する場所を映したということでアメリカの今にも切り込んだ作品になっている。

とはいえ声高に叫ぶようなトーン(それはそれで素晴らしいのもあるのだが)ではなく、あくまで人間たちを淡々と捉えていくだけ。それだけでこんな豊かなドキュメンタリーが撮れるワイズマンの手腕の確かさよ。

ユダヤ人の会合施設に集う人々、再開発に反対する人々、セクシャルマイノリティーの人々など多様な人々をじっくり捉えている。ラテン系、イスラム教、様々なバックグラウンドを持つ人々の人間力に圧倒される。

ドキュメンタリーとしてこれ以上求めるものある?というくらい完璧な作品だと感じた。さすがワイズマンという言葉以外出なくなる作品。
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