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真夜中のベッドの中でのdm10foreverのレビュー・感想・評価

真夜中のベッドの中で(2009年製作の映画)
3.3
【虫は無視】

ビジュアル的には好きです。
いかにも「これから何か起きます」っていう雰囲気が出ていて、裏を返せば「寝室のはずなのに落ち着かない」という、どこか異質な空間。
寝室に、しかも枕元にあんな悪趣味な絵を飾れば、そりゃ怖い夢でも見るだろうさっていうね。

――物語は一つのベッドで寝ている1組の夫婦の真夜中の悪夢を描いている。
・・・ただ、最後まで何が起きているのかわからないまま物語は終わる。
いや、正確に言えば「何か」は起きる。
なんだけど、そこの「何か」に対する説得力がちょっと薄い。

ホラーであれ何であれ、ショートフィルムでやる時ってある程度「突っ走りきる勢い」ってのが必要だと思うんです。
それは別にストーリー的なスピード感という意味ではなく、「今回はこれで行くから着いて来い!」っていう気概みたいなもんっていうのかな。
そういうのがあまり感じなかったなぁ。
これに関しては「短編」というよりは「長編作品のダイジェスト」か「CM」のような作りに感じてしまった。

設定が曖昧な割りに「結論」まで強引に持っていこうとしてしまったという感じなのかな・・。
フリが殆ど効いていない状況で「唐突なラスト」を見せられても「え?そうなん?」っていう感じしか受けず。

やっぱりこの辺は「欧米の宗教観」や「日本人のメンタリティ」みたいなもんなのかね?
正直言うと日本では「悪魔」よりも「怨霊」とかの方が恐怖を感じるのかもしれない。
だからなのかな・・・。
「悪魔」って何か目的がありそうだけど、「怨霊」ってもう何してもダメな感じがあって・・・。
陰湿っていうか、ドロドロしているっていうか・・・。
まぁそれは文化や宗教的な捉え方の違いなのかもしれないけどね。

むしろ、途中までは「パラサイト」的な話かと思ったんよ。
もしかしたら、その方が個人的には面白かったかもしれない。
っていうか、そういう物理的なもののほうが「あの尺」にははまったかもしれない。
でも、フリを入れるだけ入れて、まさかの「フリ逃げ」に使うとは・・・(笑)

『痩せている虫、太っている虫、地中の中で暮らしている・・・』
『泳ぐことは出来ても飛べはしない』
『切断されても行き続ける・・・』

散々匂わせておきながら、クライマックスシーンで出てくるのは・・・・。

あれ?虫のくだりは何処いった?





ひとつだけ言えること。

どんな原因であれ、隣に寝ている奥さんが突然「ムクッ!」と起き上がったら、それだけで十分怖い。
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