こぅ

殺人者はバッヂをつけていたのこぅのレビュー・感想・評価

3.8
リチャード・クワイン監督デヴュー作で【フィルム・ノワ
ール】。

原題:プッシュオーヴァー=騙されやすい人。

冒頭、アヴァンタイトルと言うよりも、きっかけとなる短い
ドラマ(銀行強盗)にタイトルとクレジットをバックに付けて
極めてスマートに演出。

続いて、劇場マグノリアから出てくるローナ(キム・ノヴ
ァク)の妖艶な美貌が鮮烈だ‼︎
(21歳でこの色気〜)
駐車場の車に乗り込むとエンジンが掛からない
、、そこへ
声を掛けてくるポール(フレッド・マクマレイ)、、
出会いのシチュエーションは完璧。

やがて判明する2人の関係性。
甘い仲にはそう簡単にさせはしない、、

ありがちな速攻ラブラブ展開より好感。

容疑者の愛人ローナのマンションの向かいの部屋を借り、警察
官3人交代で昼夜盗聴、双眼鏡で見張る。
ヒッチの【裏窓】と同年作で被っていたのは面白い。

根底には愛があり、サスペンスでもあるのだが、
男が1人の
【魅惑的な小娘】にハマり、それで人生を狂わされ、愚行に
走り、やがて【破滅】する物語ってのがしっくりくる。

この 運命狂わされる出会い も1つの王道的プロットで、いつ
の時代でも万国共通と言えよう。

キムのキャスティングは、観る者を納得させるだけの魅力に
満ちている。

ローナの虜になったポールは悪事に悪事を重ね、、

設定的にはもう少し面白く出来たと思うのだが、3つの部屋の
行き来、通路を利用した低予算、必要最低限のキャストで飽き
させない練られた脚本は上出来。
ただ、ほぼ鳴りっぱなしの劇伴のせいか【緩急】がない、或い
は弱い印象は否めない⤵︎

カメラはクレーンも使ったりスムーズ。
ライティングは全編絶妙。

ユーモア的か、アクセントか、ちょっとしたサイドストーリー
も同時進行する。
そのキャラも独立させず、本編やクライマックスに絡めてくる
のも抜かり
ない。


ラストは、こうなる他ない。
男は、愛する女の為よりバカを優先しまう生き物なのか。
無言のローナが切ない、、


*本作の傷みのないフィルム(画質)にはキムの【めまい】以上
の美貌と共に驚く‼︎
こぅ

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