リチャード・クワイン監督デヴュー作で【フィルム・ノワ
ール】。
原題:プッシュオーヴァー=騙されやすい人。
冒頭、アヴァンタイトルと言うよりも、きっかけとなる短い
ドラマ(銀行強盗)にタイトルとクレジットをバックに付けて
極めてスマートに演出。
続いて、劇場マグノリアから出てくるローナ(キム・ノヴ
ァク)の妖艶な美貌が鮮烈だ‼︎
(21歳でこの色気〜)
駐車場の車に乗り込むとエンジンが掛からない
、、そこへ
声を掛けてくるポール(フレッド・マクマレイ)、、
出会いのシチュエーションは完璧。
↓
やがて判明する2人の関係性。
甘い仲にはそう簡単にさせはしない、、
↑
ありがちな速攻ラブラブ展開より好感。
容疑者の愛人ローナのマンションの向かいの部屋を借り、警察
官3人交代で昼夜盗聴、双眼鏡で見張る。
ヒッチの【裏窓】と同年作で被っていたのは面白い。
根底には愛があり、サスペンスでもあるのだが、
男が1人の
【魅惑的な小娘】にハマり、それで人生を狂わされ、愚行に
走り、やがて【破滅】する物語ってのがしっくりくる。
↑
この 運命狂わされる出会い も1つの王道的プロットで、いつ
の時代でも万国共通と言えよう。
キムのキャスティングは、観る者を納得させるだけの魅力に
満ちている。
ローナの虜になったポールは悪事に悪事を重ね、、
設定的にはもう少し面白く出来たと思うのだが、3つの部屋の
行き来、通路を利用した低予算、必要最低限のキャストで飽き
させない練られた脚本は上出来。
ただ、ほぼ鳴りっぱなしの劇伴のせいか【緩急】がない、或い
は弱い印象は否めない⤵︎
カメラはクレーンも使ったりスムーズ。
ライティングは全編絶妙。
ユーモア的か、アクセントか、ちょっとしたサイドストーリー
も同時進行する。
そのキャラも独立させず、本編やクライマックスに絡めてくる
のも抜かり
ない。
ラストは、こうなる他ない。
男は、愛する女の為よりバカを優先しまう生き物なのか。
無言のローナが切ない、、
*本作の傷みのないフィルム(画質)にはキムの【めまい】以上
の美貌と共に驚く‼︎