オープニングロールは体のパーツのコラージュで散りばめられ、猟奇的なイメージ。
そして蛇のようにねちっちこい視線の目。
本編中も凝った映像表現があり、面白い。
主人公は火葬場の職員で、
妻とふたりの子供のいる家庭を持つ夫でもある。
彼はダライラマを信奉している(彼はチェコの人です)。
苦しみは排除しなければならない悪で、
灰になり塵になれば解放され変容され啓発され生まれ変われる、と信じている。
この様子が狂信的に見えて薄気味悪い。
彼は火葬場の棺を開けては死体を見ているようだ。
遺体への恐れは何もないようで…。
綺麗に繕われ、火葬を待つだけの遺体の髪を撫でた櫛で、何の惑いもなく自分の髪を整える。
前半はかなりの変人…という目で彼の日常を見てた。そして彼に従順な家族たちの姿に居心地の悪さを覚える。
やがて忍び寄るファシズムは、彼の信じる輪廻転生による魂の浄化と結びつく。
殺人者へ変容してゆく彼が、この時代の流れとオーバーラップしてく姿が恐ろしい。
時折現れる黒衣の女。あれは死神なんだろうか。。