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大いなる陰謀のktyのレビュー・感想・評価

大いなる陰謀(2007年製作の映画)
4.0
9-11同時多発テロ事件後敵国アフガニスタンに侵攻した共和党政権のアメリカについて問題提起したロバート・レッドフォード監督主演、トム・クルーズ、メリル・ストリープ共演の社会派ドラマ。

原題のLions for Lambsは獰猛なライオンのような兵士が羊のような上官のもとにいること。拡大解釈すれば、「バカな大将敵より怖い。」

三つの物語が進行する骨太の地味な作品。
敵国アフガニスタンの山岳地帯に残された黒人とヒスパニックの若い米兵の話。二人は大学教授役ロバート・レッドフォードの教え子。
次にロバート・レッドフォードの勤務する大学の教室で彼と男子生徒の対話。
最後に共和党上院議員若手で野心家の役のトム・クルーズと、ジャーナリスト役のメリル・ストリープとの面談。

当時のアメリカは世界の警察国家として悪を成敗する風潮があった覚えがあります。メディアは政治家の発言の発信に利用され、世論が政治家の意向に沿って形成されること。それでいいのかとロバート・レッドフォードは観客に投げかけます。

ベトナム戦争に徴兵された経験のある大学教授を演じるロバート・レッドフォードが生徒に真摯に向き合う態度、タカ派でイケイケの上院議員役のトム・クルーズの勢い、芯のあるジャーナリスト役のメリル・ストリープの苦悩が見応えありました。

民主党政権下の現在アメリカは海外派兵には慎重で、共産党寄りの安倍派が徹底的に叩かれる昨今。

戦争で対峙する二つの正義のうち、映画は片方の正義のみしか取り上げない。そんな世の中で戦争の当事国でない日本の私達は何を考えるべきか考えさせられました。

ザ・シネマ 録画
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