いつまでも変わらないオブジェクトには血も涙も無い。セルライトもできなければ、死なんてものも訪れない。完璧なまでに美しくて最高な毎日が永遠に続く。しかし、そんな人形は人間に成りたがっている。
バービーは、ステレオタイプを肯定しながらも、ステレオタイプから脱却しようとしているのだ。「全体」から「個」になる為のプロセスと個である事の喜びを描写している。それは、男と女である以前の、人間という性質を祝福しているように思えた。ラストシーンの笑みからもそう捉えられる。
そして、人間という性質を祝福するためには、性からも解放される必要があった。女である事の理不尽さを訴えてバービー達の洗脳を解くシーンは、コミカルな演出を交えつつポップでシュールに描かれていて、なかなか印象的だ。
『セックス・エデュケーション』のキャストが三人くらい出演していたのがアツい。
