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永い言い訳のireneのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.5
『永い言い訳』とは誰に対してのものなんだろう。観ながら最後まで考えてたけどわからなかった。
すごくすごく面白かった!良かった!

冒頭の夫婦の会話、聞き覚えしかないうえに絶妙〜に不快になる感じ、凄い。私は「仲が悪い熟年夫婦の会話を書いてください」と言われてもあんなリアルは書けないと思う。原作本も読みたくなった。

本当に幸夫はダッサくて、嫌な奴で、立ち回りは上手いと思ってるけど周りには全部バレてて、自分を見てるようで胸が苦しくなった。
周りを愛していてガムシャラに生きている陽一(竹原ピストル)のほうがどうしたって美しく見えてしまうんだよな。でも、「そして父になる」もそうだったけど、それはあくまで“こちら”から見た視点であって、信平から見た父親が情けなくだらしないように、何が正解かなんて結局ないんだと思う。
「人生は他者だ」とあるように、ただ、周りにやさしくしていくことが大切なんだろう

漫画「スキップとローファー」での兼近先輩の「(志摩に対して)キミは猪突猛進型の人間を過大評価しがちだ。自分の、周りを見れて冷静な部分をもっと自信を持ったほうがいい」みたいな台詞を思い出した。
光になれなくても周りにやさしくすることは誰にだってできるんだよな〜と。

寝過ごしてバスを乗り過ごしてしまった信平くんが必要以上に落ち込んでるの、大人だからそんなの気にしなくていいよーって思えるけど、なんか私もそういうことあったな〜ってノスタルジックになった
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