このレビューはネタバレを含みます
いや凄かった…四半世紀に渡った長い祭が完璧な形で終わった…。
Qで大きく話をひっくり返した新劇エヴァ。アスカ・シンジ・レイの3人が旅立った先は…
トウジやケンスケが生き延びていたコミュニティ。農村で働く無免許医になり委員長と結婚したトウジも、サバイバル知識が豊富でヴィレとの交渉役を務めるケンスケもすっかり大人になっている。
カヲルの死により精神崩壊したシンジも長いこと自分の殻から抜け出せなかったが、周りのサポートで自我を取り戻す。
ヴィレに戻ったアスカとシンジ。ヴィレはネルフのゲンドウによる人類保管計画阻止のために最終決戦へ。
成長したシンジはミサトと和解し、ゲンドウとの対峙へ。
シンジは裏宇宙という観念の中で戦い、話し合った上にゲンドウを開放し、エヴァンゲリオンの役目に終止符を打つ。
冒頭のトウジやケンスケのコミュニティの描写。これが1時間くらいかけてみっちり描かれている。
もちろん加持くんのスイカを栽培する描写の延長線上にあるのはわかる。一方で、高畑勲が宮沢賢治に傾倒しおもひでぽろぽろで表現した“農村主義”をイメージしたね。アニメ監督ってのはある一定の年齢を過ぎると自然回帰になるのかなーーーと思って見てた。
そして綾波が農作業に触れ、再びポカポカしだした。ポカ波にまた出会えるとは。そして衝撃の展開。
おう…
ヴンダーでの艦隊戦。サントラが惑星大戦争ですよ!シンゴジラの宇宙大戦争に継ぐ大胆起用!流石だわぁ。
冬月・ゲンドウの策略でビンチとなるヴィレ。ゲンドウがエヴァ13号機に乗り裏宇宙へ。追いかけて来たシンジとの対話は、概念を具現化したビジュアル(?)で戦う。コレが実に素晴らしい。
エヴァ同士の街中での戦いも、映画の特撮セットの様に表現。庵野の趣味を絶妙に映像化して盛り込んだセンスよ。
またテレビ版や旧劇の心理描写を思わせる演出も。つまり旧作をも肯定し取り込んでいるんだよね。
今作の自問するゲンドウは庵野そのものだろう。そしてエヴァの観客を投影した姿でもある。
シンジによるゲンドウへの許しは、そのまんま26年前にエヴァを見て今まで拗らせてきたファンに対する開放であり癒しだ。長かったなぁ。全てのエヴァを肯定し、終わらせてくれた。
これぞ完璧なエンディングだよ。コレが見たかったんだよ。
全スタッフと庵野監督に最大の敬意と感謝を込めて。ありがとうエヴァンゲリオン。