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残穢 住んではいけない部屋のatomaのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

怖くなかったホラーについて語る人間の口調は理屈っぽくなる。
そうしないと、映画館から出てきた途端「ぜんぜん怖くなかったわ〜」と嘯くバカな中学生みたいになってしまうからなのだが、そうかといって、理屈をグダグダ連ねたところでダサいことには変わらない。でも本作は怖くなかった。ので、その理由を考えメモしておく。

アレが怖くない。
まず開始数分でアレを見せてくるのだが、怖さの段取りを踏んでない段階で見せられても「ちっちゃいタタリ神みたいだな」としか思えなかった。

話が怖くない。
本作の怪異は実はひとつではなく、真景累ヶ淵を逆向きに掘って行くような、芋づる式の因縁話となっている。
冒頭のアレも、一旦は本編の主役となる怪異と無関係であると思わせておいてやっぱり関係がある、というヒネリがあって、中盤以降は、怪談作家の主人公を中心に、この因縁の連鎖を辿って行くのが話のメインとなるのだが、登場人物がそこに取り込まれている感じが全くない。竹内結子も橋本愛も、なんか大丈夫そうな感じが漂っている。
スタッフによる取材やナレーションで「そのもの」を登場させるまでの時間をつなぐ、投稿実話モノによくある構成と言えなくもないのだが、総じて「だからどうした」感が強い。

絵が怖くない。
本作の監督は、まさにそうした投稿映像モノであるところの「ほん呪」シリーズを数多く手かげた中村義洋だが、思うに、投稿映像でモキュメンタリー的に映ってしまう怖さとJホラー的映像の怖さは、要求される怖さのタイプが異なるのではないか。
何も映っていないカットですら怖い、という心霊ホラーの醍醐味はこの映画からは感じられなかった。

最後に引っ掛かった枝葉を言うが、本作に限らず昔の新聞の再現はもう少し頑張って欲しい。当時そんな活字は使われてなかったでしょう。(24/5/11)
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