様々な愛の形が現れていた。家族としての団欒から、ひとつ屋根の下でわかり合わずとも信じて鬼になって互いに受け入れ合う姿、出会い頭の人に注がれる温かな瞳、過ちを犯し犯されながらも諦めない勇気…全ては愛の具現だったように思える。
時にはぶつかり合い、家族がそれぞれにもがく姿に客観的には「もっと良い方法があると思うのに」と思えるが、それすらも見透かしてあるのがこの作品。それでもなお、家族は真正面から衝突し合うしかなかった、いや、真正面から衝突し合うのが最善の選択だったのだろう。母はそんなことをわかっていて娘、夫、お兄さんと即物的にぶつかっていったのだろう。
時には火傷してしまうほど熱い愛が、そこには確かにあった。