Gan

この世界の片隅にのGanのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.1
"火垂るの墓"と連続で鑑賞。荒んだ心が、少しだけ癒される。本作を後に観てよかった、、

"この世界の片隅に"と陰陽の関係にありながらも、ともに真実の匂いがする。
それは、両作が徹底的な取材と細やかな心遣いに裏打ちされたものづくりをしており、戦争に対する畏怖の念と先人たちへの敬意がただならぬ気迫となって伝わってくるからである。

月並だが、今の日常の有り難さと、失われた風景(それは人の機微全てに係る)を思い知る。
そしてこの"月並"に懸けられた途方もない情念と手間を思うと、頭が上がらない。
人の心を動かす仕事は、半端な心意気と才能じゃ到底無理だと再認識。
片渕監督は勿論ジブリを意識していると思う(彼の経歴とインタビューを踏まえ、比較する方が健全)が、その血統とアンチテーゼは十分に感じられた。アニメーション、延いては創作に携わった多くの人たちの遺伝子が、収斂し、研鑽され、濾され、さらに色濃く、違うものになっていく。
こんな素敵な営みがあるからこそ、芸術、そして生きること自体に価値を感じる。過言じゃないよ。
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