ただの恋愛主義社会へのアンチテーゼなのか。ホラーよりも恐ろしい孤独と共有の映画。
そもそも主人公自体が一般社会から逸脱している考えなのに、周りの人間もおかしいので何故かまともに見えてしまう。時に極端な行動をとるので、落ち着いたトーンでもハラハラしながら見れる。
ヨルゴス・ランティモス特有の音楽がそれを助けているだろう。魅せようとするポイントで流してくれるのでそこは優しい。
ラストシーンはこの物語の根本、つまりちゃんとした起承転結の結なのだ。めちゃくちゃに見えるこの作品は最後のシーンで納得する。彼はロブスターを選んだのだ。
極論というのは怖いのだと心から思った。あのホテルも森の中のコミュニティも、極論を暴論と考えず、信じるものばかりだ。これは恋愛観だけでなく、政治思想や社会そのものにも通用する。