このレビューはネタバレを含みます
ダサくて滑稽で!
誰かとパートナーになるのに、なぜだか皆2人の間に共通点を見つけることに躍起になる。確かにそんな時代はあった。そう、これは過去の話だ。音楽を聴くのがipodではなくCDウォークマンだったのを見ても、パンフレットを読むまで気づかなかったけど。
(この記載に気づいてから、パンフレットは最初の5行しか読んでいない。読まないと気づかないことに触れてしまうのを避けるために。)
ダサさのさじ加減が見事。ホテルの唯一の娯楽は生バンドの演奏とオーナー夫婦の歌でダンスすることだ。
曲のイントロ、バンドのドラムと楽器が合っておらず、ドラマーがドラムを力を入れずにポテポテ叩き、ハイハットのシャーンという音もバッチリ外すやる気のなさ。
加えて、夫の歌がやたら上手い、でも残念なやりすぎのビブラートをかける。妻はそんなに力まずに、音は外さず歌う。夫に合わせているのだ。
これだけで、オーナーのエゴのみでこの宴が催されているのが分かる。
この世界でパートナーと生きるには、嘘をついても2人は同じ趣味や性格、体質であることを重んじる。
この世界で1人で生きるには、恋愛はご法度、死ぬときは1人、墓の確保はしておく。
本当にそのルールは適用すべきなのか、どちらかしか選べないのだろうか。この世界にはこの2択しかないところも滑稽だ。
恋愛せよ!結婚できないのは人として欠陥がある。
そんな価値観をフフンと花でせせら嗤う、スカッとする映画だ。
レア・セドゥはかっこよかった。ベン・ウィショーもセンスの良さとかわいさを封印。2人とも期待した役とは全く違っていた。それでも見るものに、リアルな存在感を示してくる。素晴らしいことだ。