次男

ロブスターの次男のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.1
せっかくの雨の休みだし、昼間から奇妙な気持ちになりたくて、シネマカリテにやってきた。結果、大成功で、いまはとても、奇妙な気分。嬉しい誤算、予想外に笑えまくるおまけつき!

『独身者は罪な世界。独り身はホテルに強制送還され、45日以内にパートナーを見つけないと「あなたの好きな動物」に変えられてしまう。』そんな話。

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そのホテルのシステムがとてもおもしろくてなあ、ムフムフと笑いながら観ていたのだけど、少しずつ風向きは変わっていって、その風向きの変わり方が、なんやろ、雨の降る前の空気みたいな、そんな感じで。物語が半分ほど進むと、あれ?今どこにおるんや俺、とゴールが見えなくなって、その迷子感も楽しかった。

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「好き合う二人の共通点」。
この映画でも大事なトピックのひとつ。「恋人に望むものは?」の質問に、「同じ趣味がいい」とか「笑いのツボが一緒」とか、そんなん、よう聞きますし、大事なこと、やと思います。
でもきっと、「生活が円滑に進むから」みたいな実務的な理由以外に、それをエクスキュースにしてる、というか、「二人が一緒におる必然性」みたいなニュアンスにできるから、なのかもしれんなあ。共通点の存在に頼って、「だから私たちは一緒にいるべき二人なの」的な。付き合うことに確証も正解もないもんだから、そういうところに頼っちゃう。

かく言う僕もそんな「頼っちゃう」オスの一人なので、果たしてそこにアンチテーゼを唱えるつもりもないのだけど、なんだかそこを突かれているみたいで、イライラ、ヒヤヒヤしたのです。

思えば、相性云々、運命云々いうのは人間だけ、なんかな。動物みたいに、オスとメス、だけやないもんな。そう思うと、動物に変えちゃう!ってトリッキーな設定も、そういうことなのかなあ、と思うのだ。ファンタジーな設定で、でもその実、えらく現実的なところ突いてくるやんけ、と黒笑い。

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ラストシーンは、大好きだったなあ。終われと思ったら終わったやつ。ここで終わられたら途方もない気持ちになっちゃうぞって思ったら、終わったやつ。

でも、明快な答え、みたいなん用意してくれないことくらい、わかってた。
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