フクロウ

あしたのフクロウのレビュー・感想・評価

あした(1995年製作の映画)
4.5
わりと好きだった。呼子浜に、あした12時に、というメッセージが、様々な人々に届く……が、その人たちは、実は皆船の沈没事故で親しい人たちを失っていた人たちだった(しかも、遺体もまだ発見されていない)。そんな人々が、約束を果たせなかった死者たちと、海中から浮き上がってきた沈没船により、一夜限り過ごす、という作品。12時より前に呼子浜の船小屋にてんで接点のない人々があつまり、雑談してるシーンがよかった。もっとも、法子と貢は生者と再会するパターンであるほか、彼女が死んだら一緒にあの世に帰れるからと人質に取られても逡巡の末見殺しにする少年とか、誰にも連絡してないから沈没船から一人降りない女性とか、本当に色々な人間を描けていたと思う。植木等のヤクザの親分が、「人間どうせ死ぬのに、なんで殺そうとするかねぇ」とか、「信頼した人間に殺されるなら本望よ」とか、気持ちの良いセリフをバンバン吐いててよかった。あと、「男」になるを、「偉い奴を殺す」から「弱い奴を体を張って守る」にしっかりスライドしたのは見事。第7回尾道映画祭2024年で観賞。
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