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お遊さまのneroliのレビュー・感想・評価

お遊さま(1951年製作の映画)
4.0
■谷崎潤一郎氏原作「芦刈」、溝口健二監督作品〜🎬■
 
 
谷崎潤一郎氏の原作「芦刈」を読んだことはないが、読んだ方のレビューなどを読んでみると、大筋は同じだが、細かい内容は変わっているようである。
 
大筋は、女二人、男一人の恋愛三角関係という構図。
よくある男女のメロドラマである。
 
 
溝口健二監督の『お遊さま』は、特別に何か…という内容ではないが、本作の素晴らしさは、撮影の仕方であろうか。
 
溝口健二監督の撮影は、宮川一夫氏が担当することが多いが、本作も同氏の撮影。
やはり素晴らしかった〜♡
 
 
冒頭部のシーンの撮り方が素晴らしい。
慎之助がお遊さまを好きになる瞬間の心情をよく表現してある。
 
ラスト、慎之助が葦と月の狭間で謡曲「熊野」を唄いながら歩くシーンもいいですね〜🌛
 
映画全体として田中絹代氏の醸し出す和の華やかな美しさが漂っているのがいい。
 
 
 
 
■原作谷崎潤一郎氏「芦刈」の描写の一部にこんな内容も■
 
 
原作にも本作映画にも、男女三角関係が描いてあり、慎之助とお静が夫婦であるのに、明らかにお遊さまと慎之助がじゃれあい、♡関係のシーンが時折出てくる。
 
映画にはないが、原作のとあるシーンに谷崎潤一郎氏らしい?ちょっと変態チック?エロティックな表現が出てくる。
 
 
お遊さまは授乳中であるが、お乳が張るので妹のお静に飲ませるシーン。
 
近くにいた慎之助が「どんな味?」と聞く。
すると、お遊様が器に母乳を入れて、慎之助に飲ませるシーンがあるらしい。
 
 
谷崎潤一郎氏の作品をあまり読んだことがない私であるが、変態チック?エロティックな表現が多いとは聞いている。
 
母乳のシーンなんて、変態チック?エロティックな描写だと思われるが、溝口監督的にはタブーだったのでしょうね〜
 
 
溝口監督作品は、正統的な美しい描写が多い印象。
 
京・島原とか江戸・吉原などを扱った映画はあるが、谷崎潤一郎氏的な表現はあまり出てこない印象。
 
そういった意味で、原作とは細かいところが変わってしまって、内容的にはよくあるメロドラマになってしまったのかも。
 
私的には描かれていたら面白かったと思う。
 
 
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