ちろる

愛を複製する女のちろるのレビュー・感想・評価

愛を複製する女(2010年製作の映画)
3.5
愛しいあなたを閉じ込めたい
あなたの瞳に救われて、あなたは私の世界そのものだった
あなたの愛を私の身体に閉じ込めてしまえばいい
あなたのために人生を捧げて、あなたの身体ごと私そのものに変わる日を待ちわびる。

「女というエゴイズム」
をこれでもかと押し付けた作品。
この主人公がもしエヴァ・グリーンではなかったら、そして映像がここまで詩的で美しくなければ恐らく始終顔をしかめていただろう。

人の遺伝子を使って、死人さえもクローンとして蘇ることが、可能になった近未来で愛する人の全てを取り返そうとした主人公。
邦題は「愛を複製する女」とあるが原題は「WOMB」つまり『子宮』。
子宮を持っている「女」という生き物は聖母にもなれるがそれは時に「モンスター」ともなり得ると言われているようでなんだかゾクッととしてしまう。
母であること、恋人であることのエゴイズムはいつか必ず手放さなければならない時が来るはずなのに、女がそのエゴイズムを捨てきれないのは「子宮」があるからなのかもしれない。
失うことがどうしても許せないレベッカと、失う悲しみもまた生きることだと納得するトミーの母親ジュディスのどちらが人間として美しいのかは書くまでもなく、レベッカの痛々しさが最後まで切ない作品だった。
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