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軽蔑のkojikojiのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
3.9
最初のシーン、映画の撮影現場で映される移動車に乗ったカメラマンがラウル・クタールだそうだ。
「勝手にしやがれ」のカメラマン、ヌーベルバーグを支えた重要人物。ゴダール作品はもちろん、トリュフォーの作品も多く手がけているカメラマンの姿だ。
あと一人、フリッツ・ラング監督が実名のまま出演している。貴重な映画だ。

原作は露骨なセックス描写で注目されたイタリアの作家アルベルト・モラヴィアの三文小説。「映画人とその妻の愛憎模様を屈折した心理を通じて綴る」というベストセラーで監督がゴダールに決まる前から話題だったそうだ。

この映画の主人公の二人、ブリジット・バルドー、ミシェル・ピコリの配役は、ゴダールが当初予定していたのは、キム・ノヴァックとフランク・シナトラだったらしい。結局二人とは調整がつかなかったということで、ゴダールとバルドーの組み合わせが生まれた。映画ファンには嬉しい誤算ではないか。

バルドーはゴダールのことを
「左翼かぶれのインテリにはいらいらする」
と思っていたと回想しているし、一方のゴダールは、キム・ノヴァックも同じなのだが、「肉体そのもの」というだけのことだったらしい。しかし、その肉体に固執して、バルドーのお尻を繰り返し撮っているのは相当に惚れ込んでいる気がするのだが。


物語は女優カミーユ・ジャヴァル(ブリジット・バルドー)と脚本家のポール・ジャヴァル(ミシェル・ピッコリ)は夫婦間の話。夜、二人のベッドルームでの会話は無意味、でもそれがこの夫婦なのだ
二人は確かに愛し合っていた。
カミーユが裸になって自分の体の部分を一つずつあげて夫にどの部分が好きかとたずねるシーンがある。そんな仲なのだ。
「ちょっと待って、監督!あんた等、こんなことしてたの?羨ましい」😄

ある日、二人は夫の仕事場の撮影現場を見たあと、アメリカの映画プロデューサージェレミーの自宅に誘われて行くこととになるのだが、その直後から妻のカミーユが不機嫌になる。
アパルトマンに帰った後もなぜかしっくりこない。とうとう、ふたりは別々の部屋で寝ることになる。翌朝ジェレミーから再び、カミーユへのロケのオファーの電話があった。その直後、カミーユは、ポールを「軽蔑」すると言い放つ。
ここから、二人の関係は次第に悪化して、悲劇的結末へ向かうことになる。

私は、ずいぶん前に観た時は、カミーユが何故軽蔑すると言い出すことになったのか、その理由が全くわからなかった。しかし今回はここでのこの態度が原因かとわかった気がした。大人になったんだなと思う。🤭

二人の会話はどうしても実生活の監督とアンナ・カリーナがダブってしまう。きっとこんな感じで、監督はアンナに振り回されているんだと考えてしまう。こんな感じで破局へ向かったのではないか。

当時、アメリカのマリリンモンローと世界のセックスシンボルを争っていたブリジット・バルドーのお尻はやっぱり必見でしょうか。
監督がそう言っているもの。映像で。^_^

#1446 2023年 478本目
1963年 フランス🇫🇷映画
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
脚本
ジャン=リュック・ゴダール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
ピエロ・ピッチオーニ イタリア・スペイン版
撮影:ラウール・クタール
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