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少年裁判所のkyokoのレビュー・感想・評価

少年裁判所(1973年製作の映画)
4.0
テネシー州メンフィスにある少年裁判所。
親に電話をかけている少年の「僕を愛しているならここから出してよ」というセリフがとってもアメリカン。

窃盗、強盗、ドラッグ、家出、虐待……次から次へと連れてこられる少年少女たちは、取り調べやロールシャッハテストによる心理検査などを経て、必要あれば法廷でお裁きを受ける。
渋い声の判事は、淡々としていながらも常に彼らにとって一番良い方法を摸索している。時折こちらの予想を覆す厳しいジャッジを下すこともあった。

幼児に対する性的虐待を疑われた少年の裁判。
まるでミステリードラマを観ているようだった。
はたして彼は白黒どっちだったんだろう。できれば嘘発見器まで見せて欲しかった。

脅されて犯罪に加担した少年。
「正義ってなんなんだよ!」と怒り泣いていた彼に、
「この判決が最良だったと、君が大人になったら分かるときがきっと来る」という判事の言葉を理解できた日はやってきただろうか。

今も育児放棄に対して厳しいアメリカだけに、この時代も大人に対する重責が半端ない。何か問題があると、すぐに子どもは施設か養家の二択を迫られることになる。少し極端だなと思うけれども、少年犯罪と家庭環境の問題は密接であり、銃やドラッグが蔓延した社会で彼らを犯罪から遠ざけるにはこれぐらいじゃないとダメなんだろうな。

東京のM区で起こっている論争が恥ずかしい今日この頃。
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