パリ3区といえばセーヌ川沿いのパリ中心部。
その一画にあるアパルトマンを父親から相続したアメリカ人の中年(初老)男性のお話。
彼は相続したアパルトマンを手早く売るつもりでいたのに、そこには古くから父の知り合いだった92才になる老女とその娘が住んでいた。
私たちにはあまり馴染みのない「ヴィアジェ」というフランスの不動産売買制度があって、どうやらそのお婆ちゃんが亡くなるまでアパルトマンは彼のものにはならないという。
何故父親は彼にこのアパルトマンを残したのか…次第に事の成り行きが明かされて行く。
主人公のアメリカ男性にケビン・クライン。「五線譜のラブレター」でコール・ポーターを演じたのが印象的。ピアノも歌も上手なので今作でもちょっと披露してます。
お婆ちゃんはマギー・スミス、その娘にクリスティン・スコット・トーマス。
登場人物の平均年齢がかなり高いのだけど(笑)、全員が演技派で特にマギー・スミスの台詞は味わい深いものがある。
「アメリ」で記憶にある個性派のドミニク・ピノンも不動産屋でフランスらしさを演出。
怪人の顔面彫刻で有名なポン=ヌフや水上生活者の暮らしぶり、セーヌ川沿いでアリアの練習をする女性等、パリの魅力もしっかりと見せてくれる。
「いちご白書」や「太陽の雫」他多くの脚本を書いてきたイスラエル・ホロヴッツの初監督作。
舞台劇で大ヒットした彼のオリジナルを映画にしたもので、確かに舞台で観ても会話のやり取りは面白そう。
作中ずっと流れるテーマはやっぱりフランス、「愛」です。