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春琴抄 お琴と佐助のdeenityのレビュー・感想・評価

春琴抄 お琴と佐助(1935年製作の映画)
3.0
小説でははっきりしなかったシーンをこの映画は示している。春琴と佐助が肉体関係をもつことをはっきりと書かなかった谷崎の春琴抄。そこをこの映画はうまく表現している。

まず別の部屋で練習中の二人、次に二人が映されるのは障子の裏側。「この指はこうするんや」目の不自由な春琴のセリフにしてはやはり不自然。堂々と映さないのは時代の影響もあるだろうが、ここの表現はうまかった。 また、春琴が夜中に襲われ火傷する場面では、小説では犯人が誰か謎にしているが、この映画では明らかに利太郎であることを映している。 事前に乗り込んできて顔を傷つけられたこの親が来るシーンでしっかり部屋の間取りを確認しているし、逃げている後ろ姿は明らかに利太郎である。

小説とは違ってはっきり表現したこの映画にもまた違った面白みが合うように思う。
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