takanoひねもすのたり

道成寺のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

道成寺(1976年製作の映画)
3.7
歌舞伎や文楽でおなじみ「今昔物語」の「安珍清姫」

今作のアニメーションは熊野詣に伝わる上記をもとにしたもの。

熊野に詣でる老僧と若僧を泊めた宿の年若い後家の女主人。
若僧の美貌に一目惚れし夜這いをかける。
しかし若僧は「こんなことは止めてくれ」と聞かない。つれない男に女は様々に口説く。
その有様にどん引いた若僧は「それでは帰りにまた寄りましょう」と方便をつく。
しかし待てど暮せど男は来ず、ついに女は怒り狂い追いかけ、やがて妄執から大蛇になる。
噂を聞き道成寺に逃げ込んだ若僧を住職は鐘の中に隠すが、果たして大蛇は鐘に巻き付き炎を吐く。
大蛇が姿を消し、しばらくのち鐘を動かすと、若僧は白骨死体になって焼死していたという話。

後家の女と設定したことで、男への妄執の色欲から情念やらが恐ろしい。
女の一念で焼き殺される若僧も美貌だったがための不幸というか一方的に激しい愛を向けられても恐怖……。

川本喜八郎の様式美が堪能できる作品。
ライティングで調節した女の表情の変化が見応えあり。