【日本映画人の良心を疑う】
原作はコミックで、TVドラマにもなっているけれど、私はどちらも未読未見。
平成の現代に生きる青年サブローが、戦国時代にタイムスリップして信長と出会い、外見が瓜二つであるところから信長に頼まれて代わりに信長として生きていき、本物の信長は明智光秀になって・・・・というようなストーリー。
だから、最初は現代青年がタイムスリップしてしまい、織田信長として生きなくてはならなくなるあたりの筋書きをきっちり時間をかけてたどっていくのかな、と予想していた。
ところが、全然そうではないのである。最初にタイムスリップしてからの筋書きをものすごく粗くたどる梗概めいた映像があり、肝心のストーリーは安土城を築いてから始まる。
つまり、長い話の前半は端折り、後半の、天下統一のめどがたってから本能寺の変にいたるまでのあたりしか映像化されていないのだ。
だから映画としてまとまった感興を与える段階まで行っていない。原作を読んだりTVドラマを見ている人にはこれでもいいかもしれないが、私のようにどちらも見ていない人間には、登場人物同士の関係の細部が分からないままに映画が進行するので、不親切きわまりない。
原作が長くて2時間に収めるのが無理というのなら、前篇と後篇に分ければよかろうに、そうしないで前半部分を省略して途中から始めるような作り方をしているのは、観客に対する良心に欠けているからだろう。
日本の映画人はどうしようもないな。恥を知れ!と言いたいところである。