菩薩

キラー・オブ・シープの菩薩のレビュー・感想・評価

キラー・オブ・シープ(1978年製作の映画)
3.9
ほのぼのとしている様で殺伐ともしているのは彼等の生活環境がそれ程恵まれてはいないと言う事実に起因している事に他ならないと思うが、明日からの生活を思いどんよりと沈む大人達に対して今日の遊びに一生懸命な子供達の姿が眩しい。これと言って作劇性を感じさせない生々しい生活実態にならドキュメンタリーで良いのでは?とも思うが、どちらにせよ優れた作品である事に変わりはない。幼少期から培われていく無邪気な暴力性が怒りや憎しみと言った物に連結されてしまえば悲劇にも繋がろうが、ここで女性達はそんな握り拳になんの意味があるのかと高らかに叫ぶ、この映画の女達は強い。静かなる抵抗と呼ぶのが正しいか、細やかな諦観と呼ぶのが正しいかも分からないが、ここにはここの幸福とも言い切れないが決して不幸では無い生活が存在しているのだと言う事。何が一番響いたかと言えば「抜け毛が多過ぎてそれどころではない」の台詞に違いないのだが…あのアフロはどう考えても俺より毛量が多い。とりあえず冒頭の石投げ合戦で稲中思い出して「うんこだ!うんこを投げろ!」と思ったのは俺だけでは無いと信じたい。
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