けべん

ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたちのけべんのレビュー・感想・評価

4.4
舞台も不思議だし、世界観も物語も、登場人物の表現も不思議。ほとんど声を出していなくて説明もほとんどない作品なのに、かなり魅入ることは間違いない。

とにかく、この不思議な空間と関係を見守るしか視聴者には与えられていない。

時代は1980年代のイラン・イラク戦争後、舞台はイランとイラクの国境付近の立入禁止区域である川に放置された廃船。イラン少年はここで生活資源を調達していた。が、ある時にイラク少年が、ある時から赤ちゃん、見守る少女、迷彩服を着た軍人。会話のできない彼らの動向と不思議な関係がなんとも言えない物語を紡いでいた。
ただ、会話ができなくとも、やりたいこと、やろうとしてることは同志であるためわかっていく過程が伺えた。

まぁ結果はある程度見えてることだった。人が集まる、とはそういうことだ。

この作品で言いたいのは、戦争が起きてほしくないと願う人は、当事者や仲介者含めて少なからずいる、と言うことかもしれない。それが不思議な廃船に集まった一つの縮図なのかもしれない