セガール幹事長代理

温泉こんにゃく芸者のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

温泉こんにゃく芸者(1970年製作の映画)
4.0
勤務先のコンドーム会社が倒産し芸者として出稼ぎを決意する伝説の名器を持つ娘、自分がEDなので世の同じ悩みを抱える男に歓びを与えるべく「こんにゃく風呂」なる謎の設備を造ろうと意気込むオナホール職人の父、その他すけべおじさん達が繰り広げるヒューマンドラマ。

設定だけで既に面白いんだけど、おかわりに次ぐおかわりのオプション達をまったく殺すことなく物語が進行するのはお見事。とても笑わせて頂きました。

「こんにゃく風呂」制作費用になん百万もかかるらしく、こんにゃく親父は金がないから娘を金持ちのおっさんに売るんだけど、そもそもこんにゃくのどこにそんな金がかかるんだと思ってたら、デッサン、設計、質感を人肌に近づけるための塩分濃度の計算、運搬・組立の人件費やらで予算が消し飛んでおり大変申し訳ない気持ちになりました。
確かに思い返すと、以前そういったグッズを制作している人と話す機会があったんですが「そもそも新製品を開発して特許を取ろうにも猥褻物だと国に判断されると販売許可処分がされないので、弁理士の先生に“商品のビラビラは植物のモチーフ”だという証明書を書いてもらって商品化するんだけど、先生への報酬が60万」と述べていたので、目に見えるものだけが真実じゃないんだよ、見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込まないとだめだよ、というメッセージをやっと理解することができた次第です。

あと性行為3本勝負(オーガズムに先に2回達したら負け)という人類が想像しうる最もアホな戦いが繰り広げられるんだけど、こんなもん女は自己申告じゃねえかと文句言おうと思ったら、男もマムシドリンクでドーピングしてたので、まあこれはこれでトントンだなと謎の納得感に落ち着きました。

どんなブサイクでもEDでもハゲでも、ジャンル問わず一分野を徹底的に追求すれば人を惹き付ける、というメッセージも込められており、何よりとてつもなく明るい気持ちになれる映画なので、こういう作品を観ることができる環境のある方には是非おすすめしたいです。