セガール幹事長代理

レジェンド&バタフライのセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
3.0
織田信長な話。
&バタフライって言う割に途中から帰蝶(綾瀬/信長の嫁)の影が薄くなる。


【よかったポインツ】

(1)木村
本作を木村のPVじゃなく、きちんと信長のPVに仕立て上げたのは素晴らしい。木村による木村個人の個性の殺し方が絶妙で感動しました。
特に、織田信長という人物を描くうえで重要な筈なのに他の作品でスルーされがちな「大胆なのに失敗・恥を極度に恐れる」一面を、信長の幼少期〜魔王時代まで木村は一貫して演じ切っているのは大きな評価点です。
ダサい尾張弁を隠したいがために、華やかな都言葉を扱う京都の公家衆や幕府官僚には直接会わずに配下家臣や手紙を通してやり取りしていた、というネタを、死ぬほどどうでもいいシーンで前説なく使うのは贅沢の極みと言えるのでは無いでしょうか。
嬉しくてニヤニヤしてしまいました。

(2)木村
アラフィフの木村が10代の信長を演じてるのを見て、自分はもっと頑張らなくちゃなって思った。
20代なのに制服着て鼠国に行く女に対し、いちゃもんつける奴が一定数いるけど、まあ確かにあれはあれでどうかとは思うけど、木村だってこの配役の話がきた時、そういったバッシングを受けることは容易に予想できた筈だ。
日本一失敗を求められてる男であり、日本一失敗が許されない男の木村が、世論など恐れるに足らず、と、永遠のティーンエイジャーとは俺だと、そんな意気込みが伝わってきたし、男として素直にかっこいいなと思った。
あとは失うものしかない木村がビビってないのに、そもそも失うものの無い自分が何にビビってんだと、冷水をぶっかけられた気分になりました。

(3)木村
信長が帰蝶との見合いを決めた際に、信長の小姓である前田利家(まえだとしいえ)が信長に「帰蝶さんって相当いい女らしいですよ!胸やケツどーんって!」みたいなことを言い、それに対して信長は利家の尻を掘るジェスチャーをするんだけど、やりとりが面白すぎて思わず巻き戻してしまいました。
史実でも映画でも信長はタチ♂でした。


【綾瀬について】

帰蝶が忍術や武芸の達人という設定で登場するんですが、それはそれで良いと思います。そもそも帰蝶という人自体、資料がなくて人物像が掴めないから妄想の余地があり、その妄想の余地こそが歴史モノを楽しむ醍醐味でもあるわけです。
ただ途中から制作側のキャラ付けのネタが切れたのか「海外にいきたい」とちょくちょく訴えてくる病気がちな唯の面倒くさい女になり、そんなに行きたいなら秀吉の側室になれば朝鮮には連れてってくれるよ、ぐらいの感想しか出てこなくなった。
制作陣は、妄想するなら最後まで責任を持つべきです。


【明智光秀について】

明るい茶髪でした。
だからハゲるんだよと思いました。


【合戦について】

ほとんどダイジェストです。有名武将が顔すら登場しないのに、何故か名も無い坊主が斬り殺されてました(比叡山延暦寺焼討)


【総評】

タイタニックが好きな人におすすめ。