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ズートピアのmitakosamaのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
4.7
これは素晴らしいんじゃない!?
喋る動物という、もっとも古典的なモチーフのアニメーションの体を取りながら、もっとも現代社会に準じた物語を作ってる。
ディズニーも80年もの歴史があり、その時代に則してきた作品創りをしてきたので、現代の目で見ると差別的と判断される表現も無くはない。
何と言ってもディズニープリンセスのフェミニズム問題。それに南部の唄などに代表される様な人種差別問題。当時は無意識に表現されたことでも今の目で見ると差別的と感じることは多々ある話。

この映画には過去の作品にはリスペクトしつつ、差別という問題に対し臭い物に蓋をせず真っ向から取り組んだ。スタッフの紳士な姿勢がこれほど伝わるフィルムもそうはあるまいて。

主人公が、警察官の目指すウサギの娘ジュデイ。それに皮肉屋のキツネのニックがパートナーとなり、事件解決に奮闘する。
ジュディが大柄な動物に比べ、小柄なウサギという比較を用いることで、女性の社会進出の難しさを説いてる、極めてフェミニンな問題に先ず対峙していることがポイント。

そしてキツネのニックが寸借詐欺師的なキャラでありながら実は情に厚い所もあるという点。

ウサギは弱くて逃げ惑い、キツネは狡賢くい。そういう固定概念が過去のアニメ作品により前振りになっているからこそ、この作品で効いてくる。
低所得者や有色人種等に対する偏見が、ニックと言うキャラクターに暗に表現されていることが判る。

肉食獣の凶暴化が事件となり、やっぱり彼らは恐ろしい動物なのだと草食動物が怯える。偏見が一気に広まり差別の産まれる図式が判り易く伝えられる。

ジュディとニックのバディムービー。先読みできない物語は正に傑作。
ディズニー史に残る偉大なる1本だと思います。
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