ないで

おいしい生活のないでのレビュー・感想・評価

おいしい生活(2000年製作の映画)
4.0
ウディ・アレン演じる犯罪者崩れのレイは銀行強盗を計画する。しかしカモフラージュのために妻に開かせたクッキー店が大繁盛して、夫妻と一味は一躍富裕層の仲間入りを果たす。妻のフレンチーはクラスに見合った教養を身につけようと、ヒュー・グラント演じる美術商に個人授業を依頼する。

フレンチーはウディ・アレン作品には珍しい、品はないけど情が厚いタイプの女性。そんな彼女のクッキーはニューヨーカーに大評判となり、店は瞬く間に巨大企業に。そして人気の味を生み出す彼女が富を得てコーディネートする豪邸のインテリアはゴテゴテとした「バッドテイスト」。なんとこの映画は、極まった趣味の良さに家族が窒息する『インテリア』の対置的作品のようでした。

そう思って観ると『インテリア』のパールさんやフレンチーの「趣味の悪さ」は「趣味の良さ」のアンチとしてのファンタジー悪趣味で、真性のアバズレ感とはちょっと違う。彼女達は、あくまで洗練ありきの世界で夢想されたキッチュな夢の女。

だからヒュー様が仕掛けるマイフェアレディ風クラスチェンジ物語の罠にもフレンチーは引っかからない。だって彼女はウディ・アレンの夢の女だからね。彼女の為にゴテゴテなタキシードを着てみせるウディ先生には悔しいけど笑いました。
ないで

ないで