画家藤田嗣治(1886-1968)になりきるオダギリジョー。5番目の伴侶の藤谷美紀。
戦前のパリの街角の華やかさ、戦中の日本の田舎の観念的な虚無感、絵画のような風景の視覚に集中できるよう、聴覚に訴える劇伴を抑えている。そんな禁欲的な世界観が良い。
作り手の名言が宝石のように散りばめられている。
「私は(ルーブルに)三年間通いました。」
「うつむいた顔のその鼻が上手く描けないと思ったらルーブル中を周って、そうしたものだけを模写し続けるのです。」
「人間は奮闘しなくてはいけません。」
「私の白は明暗を表す白ではありません。」
「白はそれだけで白色という色なのです。」
「ヨーロッパ人女性の美しい白い肌は眼で愛撫できるようでなくてはなりません。」
「大事なことは、この線が生きているかどうかです。」
「私はものの形に愛着を感じるんです。」
「バカをすればするほど自分に近づく」
ただ観念的な作品が好きな人向け。