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デッドプールのarchのレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
3.5
久しぶりに鑑賞
思えばパイロット版を中学ぐらいの頃に観たときから期待を膨らませていて、ようやく見れたことが当時の自分には感動ものだったのを思い出す。
第四の壁を越えたナレーション形式で進行するが故に、回想が半分くらいある作品になってる。それでも特に停滞感がないのは、そもそも本作は何かが進行するような話になっていないことに起因するかもしれない。
デッドプールが抱える葛藤は、見た目的にヴァネッサに嫌われるかもしれない、その為にはフランシスを見つけて治してもらうしかない、というもの。
結末としてはフランシスには治して貰えない、ヴァネッサに関して取り越し苦労で、デットプール本人の心境の変化もないし、ヴァネッサとの関係に部屋に変化が訪れる訳でもない。全体的に物語が進行しないのだ。
そこが本作の肝というか、変な日常感に通ずる部分で、通常運行感こそがデッドプールの魅力なのだと思う。
どんなシリアス展開でも、どんな危機的状況、道徳的にまずい描写、気まずい描写でもユーモアで彼のペースに持っていかれる。なんなら彼の性格は実験前とそんなに変わっていないというのも、(というかライアン・レイノルズ本人の性格振る舞いとすらそんなに変わってない)彼の不変性という力そのものだと言える。そこがかっこいいところなのだ。


改めて見ると色々気づくことがある。
例えばベイビーわるきゅーれに出てきた変な人型サンドバックと同種のものが登場したり。思ったよりウルヴァリン(ヒュージャックマン)への目配せがあったり。作中で本作を作るためにウルヴァリンにゴマすったという発言があるのもなんか回収されそうだ。
またロケーション的にかなりサム・ライミ版スパイダーマンを思わせる場面があり、特に雨の日のヒロインとの再会は良いツイストになっている。

多くのヒーローが自らの身分を隠し、身近な人に危険が及ばないようにするために、コスチュームを身につけるのに、対して彼は超ルッキズムで、アボカド頭を隠すためにコスチュームを身につける。そこが所謂ヒーローとの大きな差異なんだろう。
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