死後の世界に取り憑かれた男
ストーリー
ひとりきりで亡くなった人の葬儀を執り行う孤独で真面目な地方公務員ジョン・メイ。見ず知らずの故人の人生に誠心誠意向き合い、彼は関係者を訪ねてイギリス各地を旅する中で自らの人生も見つめ直していく。
主演 エディ・マーサン
監督 ウベルト・パゾリーニ
22年も死者との対話を続けてきた男が少しずつ変わろうとしていく物語。
とても優しく、静かでお上品な物語にあるのは"感謝"だろう。
最初の設定を見た時に大体の展開やオチを予想したが、ほぼ当たっていた。
今作のラストはこれ以外は考えられないからだ。
"生と死"を逆転させ、視点を変えればまるで"良い死神"の様であり、はたまた視点を変えればただの"公務員"。
エディマーサンの演技もとても良く優しさと尊敬に溢れていた。
きっとエディ演じる公務員は「自分の様な者が他にもいるから安心して死ねる」と思っていたが、ある日を境に"失望"に変わっていったのだと思う。
本来ならそれは"死"を望むものかもしれないが、彼の場合は違った。
これまで多くの"死"に触れすぎて、"生と死"のどちらにも存在してしまっていたから。
だからこそ彼の変化やこれから歩む人生を我々は見ようとしたのだろう。
綺麗な青空と澄んだ空気が肺を満たしてくれる、そんな作品であった。