Supernova

あやつり糸の世界のSupernovaのレビュー・感想・評価

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)
4.5
不可解に行方をくらます人物たちの不可視の影を追って辿り着くは目を背けたくなる世界の真実。極限までニヒリストな映画。

初ファスビンダー監督。『マトリックス』ですら前衛的で革新的だっちゅうのにその25年以上前にこれ作ってるファスビンダーは頭がおかしいんじゃないかと思う(褒め言葉)。間違いなく『インセプション』に影響を与えてる作品だと思うし色々と感慨深い。

ビジュアル的にはアナログな世界観なのに放たれる言葉やセリフは徹頭徹尾SFで興奮する。演出はかなり淡白でとてもSF的とはいえない絵作りなんだけど、それでもきちんとSFだと伝わるんだから凄いよね。仮想世界の多重構造を取り扱っててつまらない訳が無い。こういうSF大好き。原作も読んでみたい。本作をリメイクした『13F』もいずれ見たい。

ファッションやインテリアからは一目でドイツ的なものを感じる。詳しくもないのになんか伝わってくる。良い。それでいて浮世絵があったり絶妙な文化の混淆が見えてそれが独特の近未来感を演出している。

なんだか申し訳ないんだけどキャビンの辺りだけ笑ってしまった。自暴自棄になってむしゃくしゃしてて可哀想なんだけど色々と笑える。

ラストも『インセプション』に通ずるものがある。

213分あっという間でした。素晴らしい。奇しくも50周年の今年に観れてよかった。彼の他の作品も見ます。
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