ジーナ

何故R氏は発作的に人を殺したか?のジーナのレビュー・感想・評価

4.9
本作はファスビンダー監督作と扱われていますが、これがちょっと違います。
ミヒャエル・フェングラーとの共同監督作であり、しかもファスビンダーはほとんど関わっていません。
現場には2回しか顔を出さず、それどころか本作は反吐が出るほど嫌いだと言っていますし、自分の作品ではないと公言。
クレジットから自分の名前を外すよう要求するも多額の費用を要する事からそのままにしているとのこと。
実質フェングラー単独作と言っても過言ではない。
とはいえ原案はその2人ですし、出演者達はファスビンダー映画常連のアンチテアーターの役者たちばかり。
最初鑑賞した時にどうもファスビンダーっぽくないなぁ思ってたんですけど、 こういった経緯を知って納得。

タイトルからして何が起こるかは分かると思います。
そうです、最終的にR氏が発作的にアレするんです。
で、本作はその事件が起きるまでのR氏や周りを取り巻く人物達の日常を手持ちカメラで淡々と描くだけの映画である。
ところでハネケの「セブンス・コンチネント」は本作の影響を受けたのだろうか?

R氏はほとんど喋らないし、笑ったりしないし、生きてて本当につまらなそう。
子供の面倒は見るけど愛情があるのかもよく分からないし、職場で同僚がジョークで盛り上がっていても自分は何も言わない。
美人の奥さんは出世の話ばかりしてくるし、仕事でミスして上司に怒られるし...

でも、そんな地味な男が主人公で、内容も地味なのに僕は大好き。
真冬のように作品を覆う肌寒さ、真っ白で張り詰めた雰囲気が非常に好み。
特にレコード屋のシーンは最高ですw

R氏よ、何故、何故なんだ?!
・・・僕には少し分かる気がします。
ジーナ

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