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ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~のKUBOのレビュー・感想・評価

3.8
これは見てよかった。ドキュメンタリーとしてたいへん優秀な作品だった。(「cinemo by ユナイテッドピープル」にて鑑賞)

同性婚が認められていたカリフォルニア州で、その同性婚を再び違法とする「提案8号」が施行された。一度は認められていた婚姻が無効とされた2組のカップルが「提案8号」を、性的指向を理由にする基本的人権の侵害として裁判を起こす。

「ブッシュVSゴア」の裁判を戦った2大弁護士が手を組むというのはすごいな。

結婚ではないが「パートナー登録(=結婚と同じ権利を持つ)」という制度もあるらしい。

同性婚を、かつて認められていなかった異人種間結婚と重ね合わせて「ラビング訴訟」(「ラビング 愛という名のふたり」)が引き合いに出されるのは映画ファン的にはおもしろい。

かつて被告側の証人で同性婚に反対の立場を取っていたブランケンホーンが、裁判を通して考え方が変わったことを告白する。

「目の前にある信念が邪魔をして、他人のことが見えなくなることがある。主義や信念といったものが壁になるのだ。その壁は他者との関係を遮断し、他者の視点から人生を見られなくする。それが妨げとなる。」

ソルジェニーツィン曰く「善悪の境界線は人と人の間ではなく、人の心の真ん中を通っている」

カリフォルニア州ではこの裁判を通して同性婚は合法となったが、未だ33州では違法のままだそうだ。トランプ政権の元では、これ以上は広がりそうもないかな?

裁判劇としても痛快な、素晴らしいドキュメンタリーだ。
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