イランの庶民の生活や考え方、風習を知るにはいい作品。
物語は終始群像劇。
末の娘の結婚を祝うために、親戚一同が次々に集まってくる。
正直、誰が誰だかよく分からないまま、
日常会話が延々と続き、
例えるなら、久々に冠婚葬祭で集まった親戚の集いみたいな感じ、
やや長さを感じてしまい、観ていて、だらけてしまった💦
花嫁から見たら義兄にあたるおじさんたちがかなり個性的で、一癖ある。
花嫁の姉妹や従姉妹の女性陣たちは、料理をしながら、噂話をしている、
子どもたちは、お庭やお部屋の中を駆け回っている。
文化や国柄は違えども、どの国にもある風景。
かつての日本にも存在していた、親戚の集まり。
どこから懐かしい。
違うところは、全員が同じ宗教だということ。みなの拠り所が一つだということ。
それから、9年前の作品だか、
イスラムの置かれている立場みたいなものも色濃く反映している作品だ。
末娘は、どうやら西洋に嫁いでいくらしい。
英語の勉強をしているシーンが冒頭流れる。
若い従兄弟は、バソコンをいつも抱えている。
送られてきた贈り物は、携帯電話。
テレビで観戦しているのは、ヨーロッパ同士のサッカー。
こんな西洋との境目がはっきりしない中、
突然、停電になったり、
角砂糖に代表されるような昔からの文化も
大切にしていたり、
今と伝統
成長と停滞の狭間にいる現代イスラムの立場も見えてきて、面白い。
そー考えると、おじさんの末路も、
そんなイスラム世界をある意味象徴しているのかもしれない。
それと、これはいい風習だなっと思ったのは、
死者に対して、泣くことで、残らせた人の生命も保障されるという言い伝え。
正しく悲しむことを理解している、実に
心理的で、人間的な言い伝えだなと感心した。
映画としては、物語の強弱がなく、引っ掛かりの部分が少ないために、やや退屈な展開になっているが、
ドキュメンタリーとして観ていくと
それなりに楽しめました。