ドント

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンスのドントのレビュー・感想・評価

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 2014年。平和なムーミン谷にすむムーミンいっかのおうちのそばで海賊が難破、なんだろうと見に行った一家は傾く船から荷物の一部を盗み、それはそれとしてふとした思いつきから雑誌に載っていた避暑地へと旅行へ行くことに。貴族を名乗ってホテルにとまったはいいのですが、とにかくお金や許可などが必要らしく……
 あらすじからもほんのりわかる通り、貨幣経済圏に生きていないムーミンたちがもしもセレブがたむろする町に行ったら、というifを描く怪作。ほのぼのしてあたたかみのある絵柄、マイペースなムーミン一家、行き当たりばったりな展開、金満なホテルと街がなごやかな不協和音を奏でており、80分足らずの映画がおっとりと長く感じると同時にある種のアナーキーさもチラチラ見えてどういう顔で観たらいいのかわからなくなる。
「『田舎者』と都会のカルチャーギャップもの」と言えばそうなのだけど本作、「田舎者」の方が主役で我らがムーミン一家であり、終始マイペースぶりを壊さないし最終的には町をカオスに陥れてなに食わぬ顔で帰宅するので、なにやら凄味のようなものが出ている。パパに感化されて貴族をやめて芸術(ボヘミアン!)をやりはじめる人も出てきて面白い。
 吹替で観たのだがゲスト枠のタレントが軒並み上手く、ワンちゃんの木村カエラはもちろん、さまぁ~ずの二人も大変に好演していた。というか声のトーンから「これは声優ではないな」とは思ったがさまぁ~ずとは気づかなかった。というかカッコつけセレブ役の大竹が上手すぎてプロの仕事に比肩していた。というか(3回目)大竹は吹替したキャラと顔がそっくりだから起用されたんだと思う。そんなこんなで疲れた夜などに観るとボンヤリとよい心持ちになるアニメだった。
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