Arlecchino

フットノートのArlecchinoのレビュー・感想・評価

フットノート(2011年製作の映画)
4.7
タルムード文学研究者の教授親子。息子は多角的な視点からの研究と、世渡りのうまさで一躍花形研究者に。息子の華々しい授賞式から映画は始まる。内心面白くない父親。息子の研究はうわっつらで空疎なものなのにとやっかみ半分。
才能的に凡庸で融通のきかない父は地道にコツコツと一つの視点で20年以上探求を続けてきた。彼が状況証拠を集め続け、あと一歩で理論が完成する、という時にその理論を裏付ける直接証拠がライバルの手によって公開され、その理論はライバルの功績となってしまう。結局父親には長い研究生活でほとんど業績と呼べるものはなかったのだが、彼はかつて斯界で最重要な著書の脚注(フットノート)に紹介されていた。これが彼の唯一の自慢なのだ。
一方、ライバルは上の理論の業績などで最大の栄誉「イスラエル賞」の選考委員になっていた。父親に言わせればこのライバルは本来彼のものとなるべき業績を横取りしたばかりか、件のフットノートに自分は掲載されず父親を恨んでいるのだという。だから自分はイスラエル賞を(候補には何度も挙がるものの)受賞できないのだと。
そんな父親生涯最良の日。なんとイスラエル賞受賞の知らせを受けたのだ。だがそれには裏があった....

よくねられた脚本で引き込まれます。フットノートをめぐるライバルと息子の会話のシーンなどはしびれますね。果たしてフットノートには価値があったのか? 親子や周辺登場人物の言動のすれ違いや、それによる感情の動き/もつれもよくできていて最高に面白い映画でした。
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